新規事業を始めることは大変なことです。
スタートアップ企業に限ったことではなく、大手や中小企業においてもそれは同じことが言えるでしょう。既存事業と別に、企業としての更なる成長を目指し「次のステージ」を、広げていくためには、新規事業の成功は大きな意味を持ってきます。
そんな、新たなビジネスを構築していく場合、まずは基本的なことから考えなければなりません。厳しい道のりだという、ある程度の覚悟と勇気を持って歩みを進めていくために、目の前のことから先を見据えた問題まで、理解しておきたいと思います。
3割の壁を超える
ここ10年で新規事業を行ったことのある会社は全体の約4割。 また、新規事業は7割は失敗する。ようは3割バッターで一流ということ。
ここで気をつけなければいけないことが、「既存事業が傾いたてきたから・・・」と慌てて新規事業を立ち上げても遅いということを理解しておきましょう。
立ち上げ後、即座に大きな売上を生み出せる新規事業はほとんどありません。多くの場合は3~5年、場合によってはそれ以上かかるのが基本的です。
さらには、新規事業が世に出て認知されるまでには時間が必要になるにで、その間に「責任者が自信を失くしてしまう」ことが多々あります。社内的な批判の目、「あいつはいつも何をやってるの?」「遊んでるだけでしょ?」という圧力に屈することなく、道を貫く「度胸」が必ず必要になってきます。
今では名の知れたサービスも、立ち上げ直後から爆発的に広まったわけではなく、閑散期を乗り越えて今の認知度を確立してきました。
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※上記企業も軌道に乗り成功するまでに時間がかかっています。
社内の信頼を得てこそ成功につながる
悲しいことに、新規事業というのは、既存事業の人から見ると「遊んでいるように見える」のも事実。そこには、新規事業を担当する者と既存事業を担当するものの間に信頼関係がなければ成り立ちません。
よくある話ですが、「外部から詳しい人を引き抜き、新規事業を任せる」という企業がありますが、想像する通りに、外部から招いた社内的に信頼のない人が孤立し、支援や協力を受けられずそのまま終了というパターンが後を絶たないのは皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。
もちろん、新規事業をはじめて軌道に乗せていくためには、個人の力だけでなく内外問わず多くの方の協力が必要です。
人を雇い、組織を作り、拡大していく。何もないところから新たに事業を起こすということは、極端なことを言えば、はじめは「人」という資源しかないところからスタートすることになります。すなわち事業を軌道に乗せていくためには、「人」と「組織」にかかっているとも言えます。当たり前のことですが、この原点を絶対に忘れてはいけません。
しかしながら、人の採用や組織作り、就業規則などのルール作りや、評価制度の導入や運用などは、すべて事業の成功のために行うただの手段でしかありません。
起業&企業の「理念」「ミッション」「ビジョン」は明確に。
- なぜ事業を立ち上げるのか?
- その事業で何を実現したいのか?
- 10年20年後に会社と自分をどのようにしたいのか?
このようなことを事前に明確にしておかなければ、新規事業に明るい未来は見えてこないでしょう。
事業計画を立てる上で、明確なビジョンがあるのか?きちんと人に伝え理解し、納得してもらえるようなものなのか?そんなことをはかる手段として、エレベーターテストというものがあります。
▼ エレベーターテスト
「Q.あなたのビジネスを簡潔に述べてください?」
(制限時間:エレベーター乗車時間 約30秒)
このテストで、簡潔にわかりやすく説明できなければ、その事業は一旦考え直したほうがいいでしょう。
何故かと言えば、30秒という短い時間の中で、簡潔に相手を納得させることが出来なければ、必要な援助や協力、投資を受けることが難しいからです。
誰から見てもわかりにくく、練られていないビジョンであると判断され、成功確率が低いとしか思われません。ですので、シンプルかつ明快な理念・ビジョンを掲げることは、重要になってきます。
また、そこには以下のようなポイントも組み込まれていなければなりません。
- 社会背景
- 成長戦略
- なぜあなたの会社なのか?
持っているパフォーマンスを発揮できる環境作り
いくらいいビジネスモデルや商品、サービスがあっても、それを生かすも殺すもマネジメントも含めた、そこで働く人次第です。コアメンバーであればあるほど、個々が向くベクトルが一致していなければ致命傷になり、軌道修正が出来なくなるでしょう。やはり大事になってくるのは「共に仕事をする人とのコミュニケーション」や「価値観を共有できること」だと考えられます。
働く人が、それぞれに思い通りのパフォーマンスを発揮出来るような環境や関係作りが大切なことは言うまでもありません。
変化を恐れずにポジティブにとらえる
方針がコロコロ変わってしまう企業に嫌気が指すという人は、数多くいると思いますが、逆に目まぐるしく変化する社会において、情勢やトレンドなどが大きく変化している場合に、方針や方向性がいつまでも初期段階と変わらないというのも問題があります。
時代遅れのサービスや、大きすぎる課題目標などのように理想を求め過ぎるが故に生じる、停滞や出遅れ、またそこに上乗せして無駄な議論をするぐらいなら、初期に掲げた方向性を変えていくことがベストだと判断できれば、躊躇うことなく、どんどん組織を改変し、その変化に人をどう対応させるかを考えた方が絶対にポジティブでもあります。変えることを恐れずに、ここぞという時は勇気を持って進路を変えることも大切なことなのです。
個々がメンバーシップではなくオーナーシップを持つ
新規事業を立ち上げる上で大切なこと、働く人が消費者でなく生産者であるという認識を持つこと、各ポジションの人が顧客の満足を満たすことと同時に、いかに会社に貢献するかまで考えられるかが重要になります。
役職者だけでなく、そこで働くすべての人が、会社という生き物を共に成長させていくという共通の認識と目的を持たなければなりません。事業に関わる人が雇用者意識ではなく、管理者意識を持って業務に取り組んでいくことで、自然とひとつひとつの問題や課題に対し、当事者意識で考える癖が付いてくるでしょう。そうすることで、目の前の事柄が作業ではなく、問題解決となり何倍もの価値を生み出していくことは間違いありません。
周りの人に恩を売っておく
このように、新たな事業を生み出すことは、決して一人の知恵や行動では簡単ではありません。関わるすべての人の協力があってこそ成功への道が開けていくものです。そのためにも日頃から社内や関係する方々との信頼関係が重要になってきますので、様々な部署の人たちに対して、協力できることを率先して請け負うなど、その土台作りは早い段階から構築しておいた方が良いでしょう。
あまり良い表現ではありませんが「恩を売っておく」ことで、この先困ったときに助けてくれる人を増やしておくことも大切なことかもしれません。