なんで、あの人はこう考えるの?
なんで、私はそう思うのだろう?
仕事でもプライベートでも相手の気持ちや考え方を理解するのって本当に難しいことですよね。そもそも自分のことをもきちんと理解できているのかさえ曖昧ですが、それでも「他人のことはよくわからん!」ってことで、済ますことが出来ないのも現実問題としてあります。
例えば、上司の古臭い根性魂の指導法が理解できない・・・。何度言っても同じミスをする部下の頭の中を覗いて見たい・・・。など、人それぞれ物事の捉え方も向き合い方も違うということは知っていても、なかなか「じゃあどうすればいいの?」と困ってしまった方は、この「SP=サブ・パーソナリティー」という、イタリアの心理学者ロバート・アサジョーリのサイコシンセンスを基にした考え方を参考にしてみてください。
まずはじめに、それぞれの人の持つパーソナリティーについて考えていきます。
パーソナリティー(personality)とは?
パーソナリティーとは、一般的にその人の“持ち味・個性のこと”で、ひとりの人間を包括的に意味する心理学の概念です。個人の持っている素質と周りの環境との相互作用から形成され、広い意味での行動(立ち振る舞い、言動、思考、認知、判断、感情)を規定するものになります。
似たような言葉に「気質(temperament)」というものがありますが、気質には「遺伝的な影響」も含まれるようですので、別物として考えておきましょう。
では次に、SP(サブ・パーソナリティー)について考えていきます。
SP=サブ・パーソナリティーとは?
人の持つ様々な面を取り上げて、パーソナリティーの中にあるアイデンティティを、「準人格化」し独立させたもの。それらが集まって、その人のパーソナリティーを形成しています。
ひとりの人間であっても、その内面にはいくつもの人間性を持っています。誰かと一緒にいる時と、ひとりで過ごす時では全く違う面を持っている人もいますよね。慎重派で計画的な人が、何か困難にぶつかると、急にいい加減になってしまい行き当たりばったりで判断をするようになってしまったり、普段は無口で大人しい人が、興味のある話題になった時にだけ、やたらとおしゃべりになったり、私たちの内部では、絶えずそれぞれのサブ・パーソナリティーが衝突しているのです。このように、ひとりの人が持つ多面的な部分をロベルト・アサジョーリが「サブ・パーソナリティー」と定義しました。
SPによる「4つのタイプ」に人をわけて考える
それでは、あなたもしくは対象となる人のタイプがどれに該当するのかを見ていきましょう。
Q1.あなたは受動的ですか?それとも能動的ですか?
【受動的】
- いざという時にしか本音を言わない
- 飲み会などでは聞き役に回ることが多い
- 消極的に物事を考えがち
【能動的】
- 自分から人に話しかけることが多い
- 自分の意見を基本的には主張する
- 積極的に、何事もとりあえずやってみることが多い
Q2.あなたは感覚的ですか?それとも論理的ですか?
【感覚的】
- 感情を表に出して表現する
- 直感で物事を判断しがち
- あまり深く考えているように見られない
【論理的】
- ビジネスライク
- 理路整然と話すのが好き
- 個人の感情は極力抑える
この2つの軸でどこに該当するのかを照らし合わせてみます。どちらとも言えない場合は、どちらかというと○○かな・・・という基準で良いでしょう。
ちなみに私は、「Clubs クラブ」です。保守的・・・。。。
自分もしくは対象の人のタイプがどのタイプに該当するのかわかりましたか?それでは、それぞれのタイプ別に特性を見ていきましょう。
4つのタイプの性格
ハートの人は・・・
長所 | 社交的で明朗/積極的で前向き/チャレンジ精神旺盛 |
短所 | いい加減/時間にルーズ/計画性がない/その場の雰囲気に流されやすい |
好きな言葉 | 夢/希望/可能性 |
秘めた欲望 | 人から賞賛されたい/夢を実現したい |
コミュニケーション | ユーモアを交えてよくしゃべる /話の中心になる |
人間関係 | 社交的な性格でたくさんの友人を持ち、浅く広い関係になりがち/楽しい仲間作りが得意 |
ダイヤの人は・・・
長所 | 温和で友好的/相手に気を遣う/平和主義 |
短所 | 人に合わせすぎる/自分の意見を言わない/自分で物事を決めない/リーダーシップがとれない |
好きな言葉 | 優しさ/和/誠実 |
秘めた欲望 | すべての人から好かれたい愛されたい/良い人に見られたい |
コミュニケーション | 聞き役になることが多い/プライベートな会話が好き |
人間関係 | 周囲の人との摩擦を避けたがる/好かれたいがゆえ謝罪が多い「すみません」「ごめん」を連発する |
クラブの人は・・・
長所 | 慎重で計画的/几帳面/忍耐強く努力を厭わない |
短所 | 神経質/細かい/気が小さい/非社交的 |
好きな言葉 | 安全/正確/完璧 |
秘めた欲望 | 独り誰にも邪魔されず好きなことをしていたい/間違いや失敗をしたくない |
コミュニケーション | 受け身/口数が少ない/興味のあることだけ話したい |
人間関係 | 興味・関心の似ている人と丁寧な付き合いをする/数が少ない無二の親友を作る/人に付き合うよりもひとりで何かをするのが好き |
スペードの人は・・・
長所 | 責任感が強く確実/計画的で無駄がない/意志が強く実行力がある |
短所 | 温かさに欠ける/仕事にのめり込み第一優先/独断的/好戦的 |
好きな言葉 | 確実/信念/決断 |
秘めた欲望 | あらゆることを犠牲にしても、目的を達成したい |
コミュニケーション | 無駄なおしゃべりを好かず、聞くのも苦手/目的があれば積極的に話す |
人間関係 | ベタベタした人間関係や無駄な付き合いは好まない/友情や愛情よりも仕事を優先/必要に迫られればリーダーにもなる |
どうでしょうか?ざっくり的確に的を射ているのではないでしょうか・・・。まずはここで、良いことも悪いこともきちんと受け入れることが大切になってきます。自分ではそんなことはないという事も、周りの人からしたら「そうそう。」ということもあります。否定をせずにまずは素直になりましょう。
4つのタイプの学習方法
ハートの人は・・・
学習方法 | まずは自分で体験することを好む/少しの経験で全体がわかったような気になる/感覚的に学ぶ/あまり細かいところまで指導されるのを好まない |
指導傾向 | 実践体験重視/細かい指示はしない |
仕事の進め方 | アイデアが豊富/思い込みが強く熟考が苦手/直感的に判断しすぐ実行に移す/反省よりも次のことが大事 |
不安要素 | 刺激や変化がないとき/自由裁量がないとき/自分のイメージ通りに事が進まないとき/他者や社会に認めてもらえないとき/細かい手間のかかる作業をしなければならないとき |
不安や緊張を感じたとき | 感情的にムキになる |
成長課題 | セルフコントロール/事実やデータに基づいた根拠のある判断を行う/時間や期限を守る/多面・多角的に考える/計画を事前に立て行動する/点検をきちんとする |
ダイヤの人は・・・
学習方法 | 誰かと一緒に学ぶことを好む/勉強より体験する方が合っている/懇切丁寧に指導されること好む |
指導傾向 | 体験を重視し、感覚的、細かく指導する |
仕事の進め方 | 自発的に仕事をするより他者から依頼されて仕事をする方が多い/ひとりで決意することが苦手で人に左右されやすい |
不安要素 | 対人関係の葛藤/意見の対立が起きているとき/プレッシャーがかかっている時/仲間外れにされたとき |
不安や緊張を感じたとき | 気持ちが逃げたり、その場から去る |
成長課題 | 自己決定する/ひとりで実行する/依存心をなくす/目標指向性を持つ/自分から提案を行う/自己主張をする/必要なときはNOと言う/率先して仕事を行う |
クラブの人は・・・
学習方法 | 論理的・体系的に学ぶ/納得するまで時間がかかる/専門家から学ぶことを好む/リスクの少ないものを好む |
指導傾向 | 論理的・体系的に教える/細かく指導し説明が長い |
仕事の進め方 | 熟考し慎重に選択する/決意するのに時間がかかる |
不安要素 | 失敗や危険などのリスクがあるとき/プライドが傷ついたとき/計画通りに事が進まないとき/非合理的な行動を押し付けられたとき/馬鹿にされたとき |
不安や緊張を感じたとき | 理由を探し自ら言い訳をする |
成長課題 | 応用力をつける/自己開示を心がける/柔軟性を持つ/自己完結しない/他者への配慮/自分から他者に話しかける/考え方や内容のみならず相手のきもちを理解する |
スペードの人は・・・
学習方法 | 学ぶ目的や目標を明確にする/論理的体系的に学ぶ/自発的に学ぶ/あまり細かく指導されることを好まない |
指導傾向 | 論理的に指導しようとする/細かい指示はしない |
仕事の進め方 | 目的・目標が明確でなければ動機付けが低い/不言実行を良しとする/無理な目標にもチャレンジする/ひとりでの実行力がある |
不安要素 | 負けたとき/結論が出せないとき/目標が見出せないとき/他者との関係に必要以上に深入りしてしまったとき/人に利用されたとき/仕事が期限までに間に合わないとき/自信がぐらついたとき/自分の信念が脅かされたとき |
不安や緊張を感じたとき | 論理で相手を攻める |
成長課題 | 他者への配慮/合意をとる/人の話を聞く/長期的なビジョンを持つ/白黒つかない部分も許容する |
こうやって見てみると、それぞれのタイプごとに随分と物事の考え方が違っているのがわかります。
■ 自分のことがわかる
↓
■ 他者のことがわかる
↓
■ 他者への接し方がわかる
↓
■ 自分の課題がわかる
自分のこれからのビジョンもですが、身の回りの人の特性を知ることでどのように接していけばいいのかも見えてくることでしょう。
上司であればどこをポイントに視点を合わせれば理解できるのか、部下であれば求めている答えを出してもらうにはどう指導すればよいのか、自分の目線だけでなく他者の目線に合わせてみることで的確な対処方法が見えてくることでしょう。