地域に根付くデザイナーになるには何が必要か?

地域に根付くデザイナーになるには何が必要か?

デザインを仕事にするうえで、今や東京や大阪など都市に縛られないとできないということはありません。人口や企業の絶対数が多い都市部にはそれに比例する仕事があるのは事実ですが、そこにいないと仕事ができないということはなありません。

自分の生まれ育った町、旅行で訪れて好きな村、日本にはその土地に根付く文化や歴史が数多くある。高齢化社会の影響を大きく受け、人口減少、若者離れなど、地方が抱える課題は都市部では見れないものもある。そこに問題があるということは解決すべき課題があるということ

人間関係、最低賃金、規則やルール、都市部と地方にはデザインに限らず、働く、暮らすということにおいても大きな違いが存在する。そんな地方でデザインを武器に尽力する人たちのリアルにスポットを当てた本書は、地方で働きたい人はもちろん、デザインを仕事にする人、これからしたい人に、社会全体が抱えるデザインと人との関係性を表してくれる。『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる、学芸出版社』

あまり知られてない地方で働くデザイナーが思い描く未来、ぶつかる壁などを知り、クリエイティブという価値を広げ表現するヒントになればと思う。

地域ではなくまずはそこに暮らす人からはじまる

暮らす人からはじまる

このエリアは〇〇だから・・・とか、その地域特有の性質を持ち出して物事が進まないことを正当化するのはやめよう。どんな地域であろうと、風習や歴史がある。そんな過去を前提にそれを守りたいと思うのは当然のことであって、人は新しく変えることを好まない。単純にリスクが高いしそんな責任を負いたくないのだ。だが、そう思うのも人であり、もっと便利に、もっと安全にと願うのも人。そこに問題があると認識していても、そのままでいいという答えが優先されることもしばしば・・・。そんな状況を一気にぶち壊して改革しようとするのではなく、ひとかけらずつ古くなってしまった危険なものを取り除き、補強しながら、安心できる形をつくりあげていくしなかないのだ。「一緒に考え、一緒につくる」ことを大切にしていくことが求められる。

あなたは何者で、何のために問題解決をしたいのか?

あなたは何者で、何のために問題解決をしたいのか?

地方で生活する人にとって、そもそもデザインというものがどんなものか?というのを理解するのは難しい。見た目を変えることがデザイン、そう思っている人も非常に多い。言葉では良いことばかり言って、つくるものをつくったらいなくなる・・・。そんな印象を持っている人も少なくない。デザイナーの言うことを信じて依頼をしたが、結局やることが増えただけで、何も変わっていない。そんな目先のデザインを過去に経験している人はデザイナーをそもそも信用していない。知らん横文字を並べて立てては右肩上がりのグラフを見せられるだけで、そこに何の保証もない。デザイナーである前に、あなたは何者なのか?どんな人間で何をしたいのか?まずは、そこからきちんと話をして行動していく姿を見せるしかない。結局はお金でしょ?ではなく、地方が抱える問題に対して、あなた自身が問題と捉えているのかどうか?それを解決することでデザイナーであるあなたの何が解決されるのか?そこに納得と熱量がなければ伝わるものも伝わらない。

当たり前だが嘘をつかない

当たり前だが嘘をつかない

デザイナーという職業の価値なんて、都市部であっても理解できている人は多くない。それはどこであっても変わりないのだ。そもそもデザインが問題を解決するなど、意味がわからないだろう。それをうまく言葉で伝えられたとしても実感として体験するまで、ほとんどの人は「?」を抱えながらデザイナーを見ているものだ。そんななか、デザイナーの言うことがコロコロ変わってしまったり、根拠のない理想論だけを並べ立てたり、嘘をつかれれば信用なんてされない。きれいごとはいいんだよ、実際何をすればどうなるの?ということを知りたいだけ・・・。確証はないけれど、これを○○すれば高い確率で△△になります。と言われても、絶対じゃないんだよね?じゃあやらない・・・。となってしまう。確実性のないものに手は出せないのは仕方ないともいえる。あとは、デザイナーとしての熱量というよりも、人としての熱量しかない。そこであなたがどんな姿勢と行動を示せるか?それを見て判断してもらうしかない。

最後に

行動できるかどうか?

地方でデザインを仕事にしたいと考えているのであれば、デザイン以外のことに興味を持てるかが重要になってくる。そして、一見無駄と思えるデザイン以外のことを全力でできるかどうか。これは自分の仕事じゃない・・・とか、これはやりたくない・・・とか、そんな分業制の壁がひとつでもあるのなら、地方でゼロからやっていくのは難しいかもしれない。もはや、都市部の企業に属していても同じように多様なスキルと行動力を発揮している人でないと地方で花開くのは難しい気さえする。きっとどこにいても、出来る人はできるし、出来ない人はできない。場所でもなく、合う合わないでもない。行動できるかどうか?それが成功するかしないかを決める前提条件とも言えるだろう。

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