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バイアスに縛られない考え方

バイアスに縛られない考え方

デザインに留まらず、様々な場面で「バイアス=偏ったもの」という概念があります。
あまり聞き慣れない言葉ですが、この“バイアス”が人の行動心理学において、多くの影響を与えていることは確かです。そこで無意識に「えこひいき」や「偏見」を持って物事を判断してしまっていることに対して、既成概念や固定観念に影響されず、ニュートラルな思考で状況や決断を下すことができるようになるために、自分の中にあるバイアスについて、考えてみる機会になればと思います。

そもそもバイアスって何?

「バイアス」とは、一種の「偏見」「先入観」「思い込み」などのことを指します。

私たちが何気なく生活をしている中で、このバイアスが無意識に働いてしまうことにより、公正な判断や考えができなくなってしまう場面が多く存在します。そのバイアスを限りなくゼロに近い状態にし、偏りのない正しい位置や視点から物事を見る視点を持つことで、自分自身の思考回路や判断基準などに、公正な位置からの「起点」を発見することが出来るように、試してみる価値はあるでしょう。

7つのバイアス

ここでは、大きく「7つのバイアス」をご紹介します。

1.損失回避バイアス

「損失回避バイアス」とは単純に損失=リスクを回避しようとする本能のようなもの。

私たち人間は、何かをすることに対して、それを「することで得られる利益」と「負うかもしれない損失」が同レベルであると、利益から得られるであろう達成感よりも、損失による受けるであろう苦痛の方が大きく感じる傾向があります。

例えば、掛け事などで「勝てば1000円が手に入り、負ければ1000円を失う」という条件の場合、同じ金額設定であっても「失う可能性のある1000円の方が大きく感じる」ため、その掛けには乗らないという心理が働くようなことがあります。

また、利益と損失の両方に言えることですが、その基準値が小さいほど人は敏感になりやすい傾向にあります。例を上げると、「年収1000万の人が、100万円のUPにより年収1100万になるよりも、年収500万の人が、100万円のUPの年収600万になった場合の方が、受ける感覚値が高い」というようなことが言えます。

2.現状維持バイアス

多くの人が、今の生活スタイルや習慣など、何かしらの自分の悪い習慣を改善したいという考えがあるのではないでしょうか。

しかしながら、今までくりかえしてきている習慣などを、パッと変えることは出来ずに、「また、明日からやろう…」など、先延ばしにしているのではないでしょうか。そもそも、“人間の意思は弱いもの”なので、強い動機がそこに存在しなければ、今の現状をなかなか変えらることは難しく、もはや変えなくてもいいと思うこともしばしばです。

ましてや、会社の事業などで物事が問題なく回っていると、そこからさらに別の新しい方法を試そうとは思わないでしょう。

勿論、何かを変えるということにはリスクもあります。変化は、「良い結果」も「悪い結果」も生み出す可能性があるものなので、人は「【1】の損失回避バイアス」に働きにより、失敗した時のリスクを避ける働きが強くなり、現在の状況に取り立てて不満がない場合、余計な変化を求めず、安定した現状維持を選ぶのが当たり前となっていくでしょう。

企業活動において、軌道に乗っている事業こそ、その良い状態を今後も継続させていかなければなりません。ところが、ここに「現状維持バイアス」が働くことで、今のところは、とりあえず上手く回っているから、そのまま同じ方法でくりかえしていれば良いと考え、新たな方法や改善のための思索・行動を取らなくなってしまう傾向にあります。

危険が迫った時に、それを回避する方法を考えるのは当たり前ですが、安全が保たれている時に、万が一の危険に備える方法を考えることができる人がどれだけいるでしょうか?

「原発の問題」や「安全保障の問題」も同様で、何か問題が起きてから改善点を探ったところで受けてしまった被害は取り返せないのは周知の通りです。問題がないからこそ問題を考えるということができるかどうか?そういったことも考えていかなければなりません。

3.同調バイアス

特に日本人に多い傾向ですが、人は多数派の意見にとりあえず合わせようとする傾向が強いと考えられます。子供の頃から「強調性」「同調性」などが大切だと教えられてきていることもあり、周りと違う意見・姿勢を貫くことは非常に難しい空気感があります。大抵の人は、はみ出して目立つということを極力避けようとし、人と違うことをしたり目立つことをする人は、「変わった人」と括って、別の世界で起きていることのように割り切ってしまいます。

防災心理学でも良く取り上げられますが、いざという時に、人は周りの人の言動や行動に影響されやすいという傾向が見られます。TVで見たことがありますが、映画館で映画を鑑賞中に火災が発生したと放送が入った際に、非常口が4つある劇場で、ある一定の人数がひとつの非常口に逃げていくと、何も助言や規則がなくても人は同じ扉を目指して逃げようと殺到するという結果が出ています。

冷静な判断ができなくなってしまうのか、とりあえず周りのその他大勢に合わせて行動しようという考えになってしまう。

では、そうすれば良いのか?

まずは、自分の心理状態をコントロールできるようになり、常に心をニュートラルな状態を保つ意識をする必要があるでしょう。

4.コンコルド効果

多額の費用をかけて開発した新商品が全く売れない…。「販売を中止した方がいいのでは?」という声が挙がっても、それまでに投資してきた金額を考えると、そこで引き下がれないと判断し、試行錯誤をくりかえし損失が膨らんでいってしまうこと。

こういった場合には、バイアスを排除し問題を見つめ直し、改善の余地がある場合でも残り時間を設定し、改善策を取る。はじめに設定した時間内で改善できないと判断された場合は潔く認め、停止・廃止するという決断を下さなければなりません。こういった場合に大切なことは「もったいない!」という心理を捨てる勇気が必要です。

5.自己奉仕バイアス

成功した場合は、当人の内面的または個人的結果を主張し自分の手柄にするけれども、失敗をした場合は外的要因のせいにして責任を取らないといった無責任な考え方のことです。

「人を動かす人」の中に以下のような節があります。

人が時間を掛けるのは、要領が悪いから
自分が時間を掛けるのは、丹念にやっているから

人がやらないのは、怠慢だから
自分がやらないのは、忙しいから

言われていないことを人がやるのは、でしゃばりだから
言われていないことを自分がやるのは、積極的だから

人がルールを守らないのは、恥知らずだから
自分がルールを守らないのは、個性的だから

人が上司に受けがいいのは、おべっか使いだから
自分が上司に受けがいいのは、協力的だから

人が出世したのは、運が良かったから
自分が出世したのは、頑張ったから

「人を動かす人」
(ジョン・C・マクスウェル著、三笠書房)

6.フレーミング効果

フレーミング効果とは、同一の選択肢であっても、選択者の心的構成(フレーミング)が異なることで、意思決定が異なってくる効果のことを言います。質問の内容や問題の提示のされ方によって、回答者の判断が異なってくる傾向にあります。

例えば「学校の先生」が、

  • 【A】「プランAの勉強法を実践すれば、90%の確率であなたは合格します。」
  • 【B】「プランAの勉強法を実践すると、10%の確率であなたは不合格になります。」

出る結果の確率は全く同じですが、少し言い方を変えているだけであることがわかります。しかし、言われた方の受ける印象は大きく違うことがわかるでしょう。

フレーミング効果は、相手を説得する手段として有効でもありますが、逆に相手を騙す手段としても使われます。

例えば「営業マン」が、

  • 【C】「このサービスを利用すると、10%の手数料が掛かります。」
  • 【D】「このサービスを利用すると、90%のリターンが見込めます。」

ものは言いようという言葉がありますが、同じ意味合いでも表現の仕方で受け取り方は大きく違ってくるのが理解できるかと思います。

7.確証バイアス

自分の先入観や信念を肯定的に証明する情報は重視するが、これに反するような情報や自分があまり良く知らない物事を軽る見て黙殺する傾向にある現象のこと。

例えば、新たに携帯電話会社を選ぼうとするときに、自分の尊敬する人が勤めている携帯電話会社【Z】があった場合、これと言った理由がなくても【Z】の製品やサービスが良いものだという印象を持ち、確証がなくても【Z】の携帯電話が一番良い!と、考えてしまうような節があること。

そもそも偏った見方をしている中で、比較をしようとしても難しいものがあります。
口コミサイトなどにも見受けられますが、それなりに高価なものほど、自分の意思により購入したものを良く思おうとするような現象が生まれやすくなります。間違った買い物をしたなんて認めたくありませんし、自分の決断は間違いだったなど思いたくもないでしょう。

このうように、私たちは普段から様々な「バイアス」を受けて物事を見ています。公正な判断をしているつもりでも、やはり偏った意見や考え方で何を決めつけてしまっていないとは言い切れないような気がしてきます。勿論、何かを決断しなければならない状況で、自分がどうしたいのか?という理想があって選択を迫られた場合など、私欲を入れて決断する必要がある場面もあるでしょう。その時どういった状況で、自分がどういった立場で決断をするべきなのかを考えた上で、バイアスを持つのか、ニュートラルな思考で判断すべきなのか?というのも考えなければなりません。

わかっていてもなかなかできないのが事実だと思いますが、わかっているのなら出来る可能性があると捉えて実践していくのもいいかもしれませんね。

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