SNS運用で気をつけるべき著作権を基礎から学ぼう。

SNS運用で気をつけるべき著作権を基礎から学ぼう。

広く若者を中心に「SNS」が普及しているなか、個人アカウントで気ままに自己発信を楽しんでいる人や仕事として企業アカウントを運用する人など、その目的や使い方には実に様々です。

プロモーションとして、SNSを活用した集客により多くのファンを生み出すことは、どんな業界や商品でも今や必要不可欠な戦略のひとつ。そんなSNS時代では、誰でも投稿者として写真や動画などの著作物をアップロードして楽しんでいる反面、この写真を使っていいのかな?ネットニュースのネタを自分の投稿に書き込んでもいいのかな?など、一歩間違えると著作権の侵害をしてしまうリスクもあり何が良くて何が問題になるのか?など、曖昧なままSNSを利用している人は多いのではないでしょうか?

そこで、企業アカウントを運用している方は特に、一歩間違えれば炎上を招き会社に大きな存在を被る可能性もあります。SNS担当者は、きちんと著作物や著作者を守るための著作権法をきちんと理解し、SNSにおける著作物の正しい利用方法を知った上で、安心してSNS運用するように心がけていきたいものです。

著作権法とはクリエイターを守るためのもの

著作権法とはクリエイターを守るためのもの

著作権法は、著作物を「作る人」と「広める人」を守るための権利です。
知的創造活動によって生み出された著作物を守る権利として、「知的財産権」というものがあります。
著作権はこの知的財産権の中のひとつの著作権法に定められています。

知的財産権

誰が著作者になるのか?

例えば、自分が飼っている犬の似顔絵を、クリエイターのAさんに3万円で依頼したとします。完成した似顔絵を受け取り、その絵をリビングに飾ることにしました。では、この似顔絵の著作権は似顔絵の料金を支払って依頼した自分にあるのでしょうか?答えはNOです。

購入者がお金を支払って得られるのは、実際に書いてもらった絵そのものの「所有権までであり、絵の著作権は実際に似顔絵を描いたクリエイターに帰属しています。つまり絵の所有権と著作権は全くの別の権利になります。もし、現物(似顔絵)とその著作権を両方とも自分のものにしたいのであれば、クリエイターとの合意が必要になります。

似顔絵

ちなみに、会社からの指示を受けて業務として創作された著作物は「職務著作と言います。

では、社内のデザイナーが自分の勤める会社のロゴのデザインを作成した場合はどうなるのか?会社からの指示で業務として著作物を創作した場合、その著作物が会社の名義で公表される場合は「職務著作(しょくむちょさく)」と呼ばれ、デザイナー個人ではなく会社が著作者となります。

また、作詞・作曲家が創作した著作物(歌や音楽など)を、歌手が歌ったり、ラジオで放送したりというケースの場合はどうなるのか?ここでも著作権は歌や音楽などを実際に創作したクリエイター(作詞・作曲家)に帰属されます。そして歌や音楽などを世の中に広める人(歌手)や企業(音楽事務所など)には、「著作隣接権」という権利が与えられます。

何人かで作ったものはどうなるの?

著作物には、ひとりではなく複数人で創作したものもありますが、この場合はどうなるのでしょうか?

何人かで作ったものはどうなるの?

まず、2人以上の人が共同で創作した著作物があり、それぞれの部分をわけることができないものを「共同著作物と呼びます。わかりやすい例として、複数人のバンドメンバーで作った楽曲がこれに当たります。共同で創作した楽曲の場合、著作権も共有され、著作権を行使する場合は著作権者全員の合意が必要になります。

また、著作権が保護されるのは、著作者の死後70年ですが共同著作物の場合は、最後に亡くなった人の年から70年後として計算されます

次に「結合著作物」というものがあり、楽曲の「作詞」と「作曲」のように、各著作物をわけて考えることができるものがこれに当たります。

また、既にある著作物をもとに新たに創作された著作物を「二次的著作物」といい、漫画をもとに映画化される映画などがこれに当たります。原作者の承諾を得たうえで映画を創作した場合、映画の制作会社は映画自体の著作権者になります。

何が著作物になるの?

著作権法において、著作物は「思想または感情を創作的に表現したものとされており、事実をそのまま記したもの、例えば「今日の天気は晴れです。」などの文章などは著作物にはなりません。

ただし、例え子供であっても考えや思いがあって描いた絵や作文などは著作物となります。また著作物は「表現したもの」という決まりがあるため、ただ単に頭の中で思い描いたもの(想像していただけのものや思い付いていたが公表などをしていないもの)は著作物にはなりません。

表現したもの

著作権は創造した瞬間に生まれる

著作権は創造した瞬間に発生し「著作財産権」と「著作者人格権」が発生します。

著作財産権は、著作権の財産的利益(利用の独占)を保護する権利で、第三者に勝手に利用された際に「利用停止」を求めることができ、著作物を利用できる人を選ぶことができます。また、この権利は他人に譲渡することもできます。

著作者人格権は、一身専属性といって他人に譲ることはできません。この権利は著作者の人格的利益を保護することで、納得できない公表をされたり改変されたりすることを防ぐ権利です。

著作権は登録や申請がいらない

著作権は登録や申請がいらない

著作権と聞くと、何かしらの機関に「これは私が創ったものですよ~!」と登録や申請が必要なイメージがありますが、実際には登録も申請も必要ありません。つまり何かを作り出したり表現した瞬間に著作財産権と著作者人格権が発生します。これを『無方式主義』と言います。

量産型の製品のデザインは著作権法では保護されません。ただし「形状、色彩、名前」など、様々な製品のデザインが意匠登録され意匠法で守られていますアイデアや発明などは、著作権法で保護されずに「特許法」が保護しています。

というように、ここまで著作権の基礎をご紹介してきましたが、普段聞きなれない単語があると難しく感じますが、まずは今回の基本を抑えて次のステップ、著作権に含まれるふたつの大きな権利である「著作財産権」と「著作者人格権」について見ていきましょう。

著作財産権と著作者人格権の記事はこちら

 

タイトルとURLをコピーしました