創作物の著作権には「著作財産権」と「著作者人格権」という二つの大きな権利が存在します。
著作財産権とは?
著作財産権とは、著作者の財産的利益を保護するための権利の総称です。著作権者が著作物の利用を正しく独占することを可能にするためにあります。著作権者が創作した著作物を勝手に他人である第三者が利用していることを見つけた場合に「その著作物は利用禁止ですよ!」と制限をしたり「○○会社であれば利用していいですよ!」と許諾することなどを決めることができます。
「著作財産権」には、さらに細かく以下の4つの権利から構成されています。
- 複製権
- 上演権等
- 譲渡権等
- 二次的著作物の創作・利用権
複製権
著作権者は創作物をコピーする権利を独占しており、他人がコピーすることを禁止できます。
撮影、複写、録音、録画、印刷など作品の複写やデータ保存なども含まれます。
つまり自分の創作物を勝手にコピーしたり、写真を撮ったり、録音したり、録画したりすることを規制できる権利があるということです。
上演権等
公衆に向けて演奏、上演、上映、公衆送信(テレビ等で放送すること)、送信可視化(アップロードすること)、公衆伝達(パブリックビューイング等)、口述、展示などは著作権法により、著作者が独占できる行為となります。
こちらはテレビやラジオ、インターネットにおいて勝手に放送されたり、楽曲を使われたり、アップロードされたりということが許可なしに行われないようにする権利となります。
譲渡権等
自分が創作したものや、複製したものを誰かに売ったり譲ったりする著作者の権利。
映画に関してはそれらをまとめて頒布権(はんぷけん)として認められています。
こちらは自分が創作した絵画を元に例えばポストカードを制作することを許可はしたけれど、それを販売することは禁止とする。など、創作物自体や複製物に対して売ったり譲ったりを決めれる権利。
二次的著作物の創作・利用権
著作者には著作物を翻訳、編曲、変形などにより「二次的な著作物」を創作する権利があります。
こちらは小説などを翻訳して海外で公開するなどを、許可するかしないかなどの権利になります。
許可がなくても誰かの著作物を利用できる例
私的複製
著作者の許諾を得なくても著作物を利用できる場合が、著作権の制限規定として定められています。わかりやすいものが「私的複製」で、著作権者でなくても家庭内であれば複製や変形、翻訳を可能としています。例をあげると、映画や音楽をレンタルショップで借りてきて、自宅で家族と観たり聴いたりして楽しむことできる。これは制限規定として定められているおかげです。
また教科書を自分用にコピーするなどは、私的利用の範囲のため許諾がなくても可能です。
ただし、あくまでも私的利用の範囲に限りますの注意しましょう。
引用
自分のブログなどで補足や説明のために他人の文章(著作物)を用いること。引用だと認められるにはいくつかの条件「明瞭区別性」「主従関係」「正当な範囲内」「公正な慣行」などがあります。
小説家や作家の文章をそのまま引用して作品を作ったり、ブログを書いたりするのはNGです。
写り込み
写真を撮影した際に、背景に何かしらの著作物が写り込んでしまうこと。例えば駅構内で自撮り写真を撮影したらキャラクターを起用したポスターが写り込んでしまった。などがこれに当たります。本来の対象に対して付随して一緒に撮影されたものを「付随的著作物」といいます。こういった場合は著作権侵害にはあたらないとされています。
ただし、あくまでも映り込んでしまったということが重要で、ポスターをメインに撮影しそれをSNSにアップロードする行為はNGです。この判断は著作権者がどう捉えるか?に重きを置くため主観だけで判断するのは避けましょう。
その他
営利を目的としない路上ライブの上演、視覚障害者のために点字の複製、聴覚障害者のための字幕付き映画の制作など。許可がなくても利用できる方法はいくつかあります。
著作者人格権とは?
著作者人格権は著作財産権と違い、第三者に権利を譲ることはできません。これを一身専属性といいますが、著作者人格権で保護される権利は3つあります。
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権
公表権
公表権は、自分が創作したまだ世に出ていない著作物を、公表するかどうか、公表するのはいつ、どのように公表するか、などを決める権利です。勝手に誰かが公表するのは公表権侵害にあたります。
氏名表示権
著作物を公表する際に、自分が著作者として名前を表示するか、表示する場合は「実名」なのか「ペンネーム」なのか、著作者自身が決めることができる権利です。
同一性保持権
著作物のタイトルをや内容を、勝手に改変されない権利です。勝手に楽曲を編曲されたり替え歌にされたりなどを規制できます。
許可がなくても誰かの著作物を利用できる例
「著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められる」かつ、「公正な慣行に反しない」場合には、氏名表示権が省略できます。飲食店などで店内のBGMとして音楽を流す際に、著作者名の紹介なくBGMを流せるのはこのためです。
また学校の教育の目的上、小学校低学年向けに原作の物語を漢字からひらがなに変更する改変も許可は必要ありません。