今回は、デザインにおける「食欲」と「色」の関係について考えてみたいと思います。
私たちは日頃、ランチや飲み屋、色々な飲食店にお世話になる際にフードメニューやドリンクなど、食べ物に関わるデザインを目にしているかと思います。そのような料理などの広告を見ていて、季節によって使われている色が違ったり、ジャンルによって彩度に特徴があったりすることに気がつきます。
商品によってそれぞれイメージさせたいことにより、色味を使い分けたり、同じ食べ物の広告でも、テーブルクロスや背景にどんな「色」や「素材」を使って表現しているか?によって見る側の受け取り方は、思いのほか左右されていたりします。
背景の色によりイメージは違ってくる
下に背景の色を変えた「ウニイクラ丼」を用意しました。
皆さんは、どの色がおいしそうに見えますか?
青
水色
黄色
ピンク
灰色
緑(エメラルド)
紫
鼠色
オレンジ
赤
以上10色の背景を見てきましたが、いかがでしょうか?
個人的には、「水色」「黄色」「鼠色」「オレンジ」「赤」の4色で食欲をくすぐられる感じがしました。
料理の中身や色味、また見る人によってその感覚は違うのかと思いますが、一般的には「暖色」の色みによる暖かみなどから、胃腸の働きを活発にする効果があり、食欲を増進させられる傾向があるようです。
「食欲がイマイチないんだよなぁ~」って時は、テーブルクロスやランチョンマットなどを、暖色系のものにするなどして気分転換してみるのも良いでしょう。
このように、食べてもらいたい料理や食材、温かいものや冷たいもの、辛いものや甘いもの、それぞれの特性を活かした色の使い方をすることで、注文の入る回数や食欲をくすぐる印象に違いが出てくると言えるでしょう。
気にしておきたい3つの調和
ここまでは「背景色」について見てきましたが、料理画像自体の色味によっても「おいしそうに見える度合い」はかなり違いが出てきます。そこで大事にしたい「調和」について見ていきます。
1.補色調和
赤や緑、黒と白、黄色と紫といった、補色関係にあたる色の組み合わせで盛り付けることで、双方の色が引き立つという効果が得られます。
2.類似色調和
黄色と茶色のように、類似する色を使うことで安心感と調和が生まれます。
3.同系色調和
同じ系統の色を濃淡を変えて使用することで、こちらも安心感を与えます。
このように、どんな料理や食材を見せるのか?ということに対して、背景の色味や食器類の選択、文字の配置など、それぞれの要素がバランスよく相互につながりのあるデザインを考えていくことが、より料理をおいしく見せるというコツになってきます。
ただなんとなくインパクトを与えて認知度を高めたいという目的になると、これとは真逆のことをすれば違和感がアリアリで目にとまりやすくもなるのかもしれませんが、並行して料理をおいしく見せるということになると、全体的な色の選び方にも注意してデザインをしていきたいものです。