商品写真などを使った印刷物を入稿しようとするときに、データ容量が重すぎる!と思ったことはありませんか?商品カタログや施設パンフレットなど、カメラマンが撮影したキレイな写真をそのまま使いたい!と思って、受け取ったデータをそのまま使ってしまうと写真のデータ容量が大きすぎて、入稿データも重くなってしまいます。
「出来るだけキレイな画像=撮影データそのまま使用」ではなく、印刷物のサイズに合わせて最適な写真データのサイズに合わせるようにしましょう。
今回は、印刷物を作成する際の写真や画像の「解像度(かいぞうど)」について考えていきます。
画像解像度ってなに?
「画像解像度」とは、画像データ(デジタルデータ)の情報の細かさを表します。デジタルカメラで撮影したデータやスキャンしたデータは、すべて小さな四角いドットの集合でできています。テレビを近くで見た時のように、赤緑青(RGB)の3色の光の組み合わせでテレビの画面を映し出しているのに似ているイメージです。伝わりますかね・・・?
小さな四角いドットが「1インチ(inch)あたり、いくつ集まって写真になっているか?」というのを数値にしたものが「画像解像度」と言います。一般的なWEBで表示されているデジタルデータ(画像)は「72dpi」です。dpiとは「dot per inch(1インチあたりのドット数)」の略で、解像度を表す単位のこと。72dpiとは、1インチあたり72ドットの画像解像度になります。
WEB画像と違って印刷物で使用する画像は、300~350dpiの画像解像度が推奨されています。この350dpiとは、1インチに350ドットの情報が含まれているということになり、72dpiよりも細かく鮮明な高い解像度であることを表します。
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72dpiの画像 | 350dpiの画像 |
上の画像は、解像度が72dpiと350dpiの写真データを印刷した場合の見え方の違いになります。
制作時モニターで見ているときは綺麗に見えていたはずの写真が、実際に印刷したら粗くぼやけてしまった・・・。ということになる可能性があります。必ず使用している画像データが350dpiになっているか確認を怠らないように気を付けましょう。
数値の通り、解像度が高ければキメ細かい画像ということで、印刷に向いていることになりますが、解像度が高ければそれだけ情報が多くなるのでデメリットとしては、データ容量が非常に大きく(重く)なってしまいます。データ容量が大き過ぎる場合、印刷会社によってはプリントの際にエラーが出てしまったり、データの入稿に容量制限があると送れなかったりという問題もあります。
その反対に画像のデータ容量が小さすぎるのも印刷の際に問題があり、解像度が低すぎて、チラシの写真がガビってしまった。。。なんてこともあります。他に使える高解像度の画像データがないのでそのまま使ってしまった・・・。と言い訳をしても後の祭りです。使用できる解像度の高い画像データが用意できない場合は、無理に解像度の低い画像を使うよりも、思い切って写真データは使わずにチラシを作る方が、安っぽくなる心配もないので使える画像データの内容によって判断しましょう。
印刷物の画像解像度はどのくらいにすればいいの?
実は、印刷物がフルカラーなのかモノクロなのかで最適な画像解像度は変わってきます。
フルカラー印刷の場合
フルカラー印刷の場合、原寸サイズで350dpiが最適とされています。この「原寸サイズで」というのが重要でこちらについては後程説明します。
仮に画像解像度をできるだけ高く、例えば1,000dpiにしても実際に印刷されたものを人が見た時に、350dpiのそれとの差は認識できないことがほとんどです。無駄にデータサイズを大きくするのではなく、適切なサイズで使用するように心がけましょう。
モノクロ印刷の場合
モノクロ印刷の場合は、おすすめの画像解像度は2種類あります。
- グレースケールの場合は600dpiが良い
- モノクロ2階調の場合は1,200dpiがおすすめ
ポスター印刷の場合
手元で見るチラシなどとは違って少し離れた位置から見られることの多いポスターは、200dpiで良いと言われています。350dpiにするとデータ容量が非常に大きくなってしまうので、200dpiにするか350dpiにするかは、容量によってや印刷会社によって適宜調整するようにしていきましょう。
印刷物のサイズと画像解像度の関係
先程の「原寸サイズで」という箇所がありましたが、印刷物のサイズと画像解像度の関係ですが、画像解像度によって最適な印刷物のサイズが変わってきます。
例えば、1,200万画素のデジタルカメラで撮影した画像データは、4,000×3,000pxの画像サイズになります。この画像データを350dpiの解像度で印刷する場合は、A4サイズに近いサイズになります。このように画像のサイズから適した印刷サイズを割り出す計算式があります。
計算方法
横位置の1,200万画素の画像データで計算すると、
横:4,000(px)÷350(dpi)×25.4(mm) = 290.2(mm)
縦:3,000(px)÷350(dpi)×25.4(mm) = 217.7(mm)
となります。W297(mm)×H210(mm)のA4サイズに近しいサイズになるため、1,200万画素のデジタルカメラで撮影した画像データは、A4サイズの印刷物に適したサイズということになります。
▼その他の一般的な印刷サイズに適した画像サイズはこちらです。
印刷サイズ | 用途 | 画像解像度(dpi) | 画像サイズ(px) |
A1(841×594) | ポスター | 200 | 約 6,622×4,677 |
A4(297×210) | チラシ・POP | 350 | 約 4,092×2,893 |
A5(210×148) | チラシ・フライヤー | 350 | 約 2,893×2,039 |
148×100 | はがき・ポストカード | 350 | 約 2,039×1,378 |
91×55 | 名刺・カード | 350 | 約 1,253×757 |
DMはがきで印刷データを作ってみる
試しにはがきサイズのDMを作成する際の、画像データを作成してみましょう。完成形のデザインがこちらです。
デザインの上部2/3程度に写真素材を配置していますが、実寸でその横は106mm、縦は100mmになっています。
▼今回使用した画像はこちらです。
Photoshopで画像を開き「イメージ」→「画像解像度」パネルを開き、再サンプルのチェックを外してから「幅100mm、高さ150mm、解像度350pixel/inch」と入力します。
幅、高さ、解像度を入力したら再サンプルにチェックを入れてOKします。
はがきサイズは「W100×H148mm」ですので、画像解像度は350dpiにしたい場合、画像サイズは「W1,378×H2,067px」になるようにします。
PhotoshopでデータをCMYKに変換
「イメージ」→「モード」→「CMYKカラー」を選択しpsdを印刷用のCMYKに変換します。
変換が完了したらPSD形式で保存し印刷データ作成時にPSDファイルを読み込みます。
印刷用の画像データはJPGを使用せずにPSDデータを使用します。JPG画像のまま利用すると、保存するたびにデータが圧縮されてしまい画像が劣化してしまいます。なのでPSDファイルを読み込んで利用するようにします。
これで完成です。
画像解像度は写真データや画像データを使った印刷物の仕上がりに大きく影響します。とても大切なポイントなのでこちらの記事を参考にして、画像解像度について理解しておきましょう。