年齢を重ねていくとなぜ人は走れなくなるのか?
老化という言葉で諦めてしまうのはまだ早いはずだ・・・。
鏑木さん自身が50歳で感じた実体験や身体の機能低下を元に、誰でも100km走れるようになるための指南書。
これまで走るということに挑戦してきた人も、まだ走るということ自体に興味がない人も、私たちの命に直接関係してくる「健康」というテーマで考えてみると、身体を動かすということはシンプルに必要なことだと思います。決してツライことをしなければ健康になれないわけではありませんが、身体は動かさなければ機能しなくなるもの。そうなれば日常の移動にも支障をきたす可能性は大いにある。痛みも不安もなく歩いて過ごせる日々が、少しでも長く続けられるようにするには、ある程度動かし続けることが必要になってきます。
世界最高峰のトレイルランニング「UTMB(ウルトラ・トレイル・デュ・モンブラン)」に50歳で再挑戦した鏑木毅さんによる本書「50歳で100km走る、扶桑社、鏑木毅」。を読むと、自らの老いと向き合い少しでも衰えを努力でカバーしようとする前向きな気持ちに、心が動かされます。
自分はどのくらいの距離を走れるのか知りたくなった…
私も3年ほど前からジョギングに興味を持ち始め、「果たして自分はどのくらいの距離を走ることができるのか?」単純にそれが知りたくて、まずはフルマラソンを目標に走ることを始めました。まずは5kmのジョギングを積み重ね、10kmマラソンに参加し完走。自信と同時にフルマラソンの壁の高さを実感し、次はハーフマラソンと心に決め普段走る距離を8km平均くらいに伸ばし、距離と時間に慣れることに重点を置き練習をしました。そしてついにハーフマラソンを完走。しんどいのは間違いないですが、純粋に完走できたことが嬉しかったのを覚えています。そして次は30kmを目標にしたところでアキレス腱を断裂しました・・・。おかげでまたスタートラインに戻されてしまったような絶望感に苛まれていますが、今はあまり考えないようにして走ることや歩くことの知識と感動を浴びようと活字を追っています。
楽しくなければ続かない
初心者がランニングを趣味にしようと思うとき、その理由は様々だと思いますが何よりも大切だと思うのは「走ることを楽しむ」ということに尽きると思います。タイムや距離などの目標を設定しないとやる気が出ないという方もいると思いますが、早く走ることや100km走り切ることなどがそもそもの目的ではないという人も多いはずです。ダイエットしたいから・・・であったり、趣味が欲しかった・・・であったり、シンプルに1~2回したいだけ走りたい!というわけではないですよね。楽しみながら続けられ、日常の生活にプラスになるような影響を求めて、走ることに興味を持ったのではないでしょうか?
そのためには、まずは次の3つを目標にしてみてください。
- 走る習慣を生活の中で身につける
- 少しずつ体重を落とすことを考える
- タイムや順位は気にしない
走る習慣を身につける
まずは、走るということを習慣にできるかどうか?が鍵になります。もちろん、歩いたっていいのですから疲れたら歩けばいい。そして走りたくなったら走ればいい。ランニングという言葉に縛られ「歩いていけない!」と無理をする必要はないのです。誰に怒られるわけでも馬鹿にされるわけでもありません。自分で決めて自分で勝手に運動しいているだけなので好きなようにやればいいはずですよね。歩いたり走ったりを繰り返す中で走ることの爽快感や心地よい疲れを感じてくると、もっと長く走ってみようとか早く走ってみようとか興味がわいてきます。そう自分の気持ちがなってきたらフルマラソンで完走しよう!などの目標を設定すれば良いでしょう。
暴飲暴食はやめる
また、走ることを始めたら食欲が強くなってこれまでより食事の量が増えてしまう可能性もあります。ただ、気を付けた方が良いのは、運動を始めたからと言って食べ過ぎてしまえば体重は増えます。体重が増えれば走ることがキツくなります。キツくなれば走ることが嫌になってしまう可能性も高くなりますので、あくまでも食事の量は増やさずに少しずつでいいので体重を落とせるように意識しましょう。体重が減れば身体が軽くなることで走りやすくなってきます。この走りやすさによりモチベーションが高まり、さらには怪我の防止にもつながります。
タイムや順位にこだわらない
そして、タイムや順位は気にしないこと。サブフォーやサブスリーなど、マラソンには一般的に目標にされることが多いある一定の基準があります。「マラソンが趣味です。」そう答えると、フルマラソンのタイムはどれくらい?などの、会話から始まることが多くありますが、これが自然とプレッシャーになってしまう人も多く、思うようにタイムが伸びないことでストレスを感じてしまいます。健康のために始めた走ることがいつしかストレスの元になっていた・・・。とならないように十分に注意しましょう。
変化を楽しむこと
ただし、年齢と共に怪我をしやすかったり、疲労回復に時間がかかったりすることは避けられません。まずは自分の身体と対話をしながら、少しずつ下降していた筋力や体力を増やし、身体が変わっていくことを実感しながら変化を楽しむようにしていきましょう。
やっていく中で、できないことはできないと認め、できることを中心にそれを楽しむこと。現実的に難しいことやハードルが高いことを無理にクリアしようとして時間を費やしストレスを感じていては本末転倒です。人生はある意味短いですから好きなことを中心に考えればいいのです。一歩ずつ足を前に出していくことがきっと想像もつかなかった場所へ自分を導いてくれることでしょう。